2024.05.02 大手産機メーカー、国内新工場の建設進む 半導体・医療機器・モビリティーなど成長分野へ積極投資

SCREENホールディングス彦根事業所で1月に稼働した枚葉式洗浄装置などの半導体製造装置新工場「S3-5」

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 某大手産業機器メーカーは生産増強に向け国内新工場の建設を進めている。水素関連をはじめ半導体関連、医療機器、モビリティー関連などの成長分野に向けての積極投資だ。中長期経営計画達成のためにも国内生産の増強は不可欠で、中長期の供給体制構築を急ぐ。工場のDX化による生産性向上、社員の健康と安全につながる働きやすい職場環境の整備、環境負荷低減も同時に進める。

水素関連の新生産棟

 SCREENホールディングスは、彦根事業所(滋賀県彦根市)に水電解用セルスタックや燃料電池部材MEAなど水素関連事業の新生産棟を2月に着工した。ディスプレー製造装置および成膜装置(FT)事業の部品検査工程などを行っていた老朽化施設を取り壊し、跡地に延べ床面積約1万7334平方メートル、3階建て新棟を建設中だ。総工費110億円をかけ、12月に竣工(しゅんこう)予定。こんにちわ

 FT事業の実験・部品検査のほか、事務所スペースを設け、隣接する半導体製造装置(SPE)事業の生産棟「S³-2(エス・キューブ・ツー)」と渡り廊下で連結させ、SPE事業の人員増に対応する。

 彦根事業所では1月、主力の枚葉式洗浄装置のSPE新工場「S³-5」(延べ床面積1万3534平方メートルの3階建て)を、総工費約80億円を投資して稼働。SPE全体の生産能力を約20%増やす計画だ。

 廣江敏朗社長は「2032年度に売上高1兆円以上、営業利益率20%以上を目指し、エネルギー、ライフサイエンス、アドバンスパッケージで将来のビジネスをつくり、既存事業の成長と新規事業の創出を図る」と説明する。

新工場に170億円投資

 堀場製作所のグループ会社、堀場エステックは、半導体向けに需要が増大しているマスフローコントローラー(MFC)や薬液濃度モニター、自社製品用プリント基板などを生産する新工場を、7月から京都府福知山市の長田野工業団地アネックス京都三和に建設する。

 堀場グループ過去最大の約170億円を投資する。敷地面積3万6011平方メートル、延べ床面積2万3292平方メートル、2階建て。26年1月竣工予定。

堀場製作所が京都府福知山市で26年1月竣工予定のMFC、薬液濃度モニター新工場の完成イメージ

 堀場エステックが約60%の世界シェアを持つMFCの国内生産能力を、MFC工場の京都工場(京都市南区)、阿蘇工場(熊本県西原村)と合わせて現在の最大約3倍に引き上げる。

 また、1月着工、25年4月竣工予定の、同工業団地にある堀場エステックの研究開発拠点「京都福知山テクノロジーセンター」の増設新棟(延べ床面積5642平方メートル、2階建て)で取り組む流量計測制御技術、液体気化技術の研究開発や産学連携成果の早期社会実装も進める。

塗装能力を1.5倍に

 島津製作所は、医療機器製造子会社の島根島津(島根県出雲市)に総額9億7000万円を投資して新棟(床面積1500平方メートル)を建設した。23年1月に竣工し、12月に開所式を行い、島根島津の医用機器部品の塗装能力を従来比1.5倍に増やした。

島津製作所が本格稼働した島根島津の医用機器部品の塗装・溶接工程自動化新棟

 島根島津は97年の設立以来、X線撮影装置の機械加工、板金、溶接、塗装、組み立てを一貫して実施。新棟では一般撮影システムやX線TVシステム、回診用X線撮影装置などに必要な多数の部品を一つの生産ラインで塗装する。

 塗装工程間の部品移動の完全自動化、自動塗装機の導入に加え、無線自動識別(RFID)タグを用いて部品ごとに異なる作業指示や、AI(人工知能)を用いて間違いの自動検出を可能にした。さらに、塗料のリサイクルシステムを導入し、塗料の無駄な廃棄をなくした。溶接工程にはロボットを導入し、品質の均一化、生産性向上、作業負担の軽減を実現した。

 島津製作所の山本靖則社長は「25年度に売上高5500億円、営業利益800億円の中期経営目標を達成するには、予定している製品をきちんと出し、設備投資、研究開発投資、人財投資を計画通りしっかりやっていくことが大事だ」と話す。23~25年度で研究開発費7300億円、設備投資800億円の大型投資を実施する。